危険なアイツと同居生活
「唯ちゃーん、慎吾っ!!」
遠くから駆けてくる蒼の姿。
黒いウィッグを翻し、黒ぶち眼鏡を輝かせて。
その後ろから、さっきのメンバーが駆けてくる。
「お疲れ、蒼」
慎吾がそう言ってジュースを渡す。
「ありがと、慎吾!」
蒼はそう言ってペットボトルを開け、ジュースを喉に注ぐ。
その汗で湿った首もとにくらっとする。
「それにしても優弥のパート、難しかった」
ため息交じりに蒼が言う。
あたしには、何の間違いもない完璧な演奏に聞こえたのに、
「サビの部分、辛かったね」
慎吾が言う。
さすがプロは目が肥えている。