危険なアイツと同居生活








「唯ちゃーん、慎吾っ!!」




遠くから駆けてくる蒼の姿。

黒いウィッグを翻し、黒ぶち眼鏡を輝かせて。

その後ろから、さっきのメンバーが駆けてくる。





「お疲れ、蒼」




慎吾がそう言ってジュースを渡す。




「ありがと、慎吾!」




蒼はそう言ってペットボトルを開け、ジュースを喉に注ぐ。

その汗で湿った首もとにくらっとする。





「それにしても優弥のパート、難しかった」




ため息交じりに蒼が言う。

あたしには、何の間違いもない完璧な演奏に聞こえたのに、




「サビの部分、辛かったね」




慎吾が言う。

さすがプロは目が肥えている。



< 223 / 528 >

この作品をシェア

pagetop