危険なアイツと同居生活







俯いて校舎を出る。

すれ違う人が、碧と川藤ゆりのことを話しているのが聞こえた。

そして、あたしを見て指をさす人もいる。




辛いよ。

彼女はあたしなのに。

あたしが一番好きなのに。






「唯」




不意に名前を呼ばれ、びくっと飛び上がる。

すると、あたしの前には背の高いほっそりした男性が立っていた。




蒼とは違う、古着風のおしゃれな服に、目深に被ったキャップ。





「慎吾……」




彼の名を呼ぶと、




「ここで待っていれば来ると思った」




彼は心配そうにあたしを見て、そう言った。


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