危険なアイツと同居生活
「マジであり得ねぇな、川藤ゆり」
賢一が前菜を運びながらそうこぼす。
その横で、慎吾がため息をついた。
あたしたちは今、賢一が昼間働くフランス料理店に来ていた。
当然賢一の耳にもスキャンダルの話題は届いていて、賢一はすごく機嫌が悪い。
コック姿の賢一も中々様になっているが、今のあたしは賢一に見とれている場合ではなかった。
「あたし……どうなるのかな」
思わずそうこぼすと、
「心配ねぇよ」
賢一は笑う。
「俺らはアイドルじゃねぇんだし。
恋愛禁止っつーことはねぇんだからな」
その言葉が嬉しい。
だけど、有名な川藤ゆりとの交際は、Fにとってプラスにもなる。
その事実が引っかかる。
「優弥もそこまで鬼じゃねぇだろ」
賢一はそう言ったが、少し顔が強張っていた。