危険なアイツと同居生活
「俺たち、高校時代は部活と趣味程度のバンド活動に明け暮れる少年だった。
それでは、優弥の目指すFは務まらなかった。
優弥の作る曲を披露するのに、当時の俺たちは子どもすぎたんだ」
そう言って、慎吾はジュースを飲む。
そんな慎吾の指も、蒼と同じようにガサガサで至るところが硬くなっている。
蒼の手を思い出し、気分がさらに落ち込んだ。
「優弥は俺たちに女を紹介した。
色々経験して、恋愛を知れと。
俺と賢一はそれなりに楽しんだ。
それ以前に彼女がいたこともあったし、割り切ることが出来たから。
だけど蒼は……楽しめなかった」
「え……」
ぽかーんと口を開けるあたしを、慎吾は真剣な目で見た。