危険なアイツと同居生活
「ねぇ、唯。
蒼って無理してるでしょ?
碧のイメージを作るのに必死で」
蒼と初めて会った頃、蒼に言われた。
蒼を好きになってくれて、ありがとうって。
あの頃の、悲しい笑顔が脳裏に浮かぶ。
「蒼は蒼自身を見て欲しいのに、女は碧を求める。
デート中も、会話中も、……ヤってる時でさえ。
川藤ゆりも、そんな女の一人だった」
そうなんだ……。
慎吾の言葉が心に沁みる。
いつもにこにこしている蒼だけど、ずっと葛藤と戦っていたんだ。
「慎吾や賢一は平気なの?」
そう言うと、
「まぁ、賢一は割り切ることが出来るから。
俺も遊びなら構わない。
でも蒼は……真面目な奴だから、割り切ることなんて出来なかった」
慎吾は悲しそうに答えた。
「だから、俺たちは唯を応援してるんだよ!
碧じゃなくて、蒼を好きになった唯を!!」
慎吾が強くそう言った時、テレビが切り替わり、音声が流れ出す。
「ただいまから、F 碧の臨時会見を行います」
あたしは、テレビに釘付けになっていた。