危険なアイツと同居生活
フラッシュが光る中、彼は現れた。
トレードマークの黒いスーツに、派手なシャツを着て。
寝癖の髪はすでに整えられ、いつものように色気を放って額に垂れる。
子犬のように丸い瞳は、今はキリッとした狼のよう。
口元をきゅっと引き締めている。
蒼ではなく、碧がそこにいた。
ドキドキドキドキ……
あたしの鼓動が速くなる。
「この度は、ファンの皆様及び関係者様にご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」
頭を下げる蒼。
降り注ぐシャッター音。
あたしは、画面の中の蒼に釘付けになる。
会見を開くなんて、どういうことだろう。
しかも蒼、やたら礼儀正しいし。
「これってまさか……」
交際を認めてしまうの?
嫌だよ、そんなの絶対嫌!
「大丈夫……きっと……」
そう言う慎吾の目も泳いでいた。