危険なアイツと同居生活
あたしは、某然とテレビを見ていた。
蒼の言葉が嘘ではないかと思ってしまうほど。
蒼は、川藤ゆりとの交際を否定するだけではなく、あたし……つまり、一般人女性との交際を発表した。
「でかしたぞ!!」
賢一が料理着のまま飛び出してくる。
「奴は男の中の男!」
そう叫んだが、店長らしき人に睨まれて厨房へ戻っていった。
まだ開店間もない時間のため、あたしたち以外に数組しか客はいない。
それでも客は賢一を指差してざわざわする。
そして、あたしたちのテーブルまで注目を集めることになってしまった。
「あれって酙じゃない?」
そんな声もものともせず、慎吾はほっとしたようにあたしを見る。
「唯、良かったじゃん」
「良かった……
本当に良かった……」
何だか夢を見ているみたい。
蒼が一般人と交際宣言しても、何の得にもならないのに。
なのに、あたしを選んでくれたなんて。