危険なアイツと同居生活
ー唯sideー
「唯ちゃん、俺、修行に入るから」
夜遅く帰ってくる蒼は、そう言い残して部屋に閉じこもった。
ピシャリとドアは閉ざされ、開けられないオーラが溢れ出ている。
そして、中からギターの音が途切れ途切れ聞こえてきた。
こんなことが、ここ数日間続いている。
蒼にしては珍しい。
何度も同じ場所を弾き直したり、止まったりしている。
聞いたこともない曲なので、恐らく新曲だろう。
今度はどんな曲が待っているのだろう。
あたしのファン心が動き出す。
同じ箇所を、ゆっくり弾く蒼。
複雑なリズムにつまり、そして止まる。
あれだけ完璧でかっこいい蒼でも、はじめから出来る訳じゃない。
それをしみじみと実感した。