危険なアイツと同居生活
テレビを付けても、面白い番組なんてしていない。
ただ、偶然流れた歌番組のMVで痺れてしまう。
碧の……
蒼の、そのきりっとした表情。その柔らかな髪。
その優しい唇。
どれもこれも、全部あたしのもの。
そんな時、携帯が振動する。
何かなと思って覗き込むと、『戸崎蒼』の文字。
鼓動が速くなる。
白黒だった世界が、急に色を取り戻す。
慌てて通話ボタンを押すと、画面に映しだされる蒼の顔。
少し疲れているが、いつものように優しげに微笑んでいた。
「唯ちゃん」
テレビ電話の向こうの蒼は、その愛しい声であたしを呼ぶ。
その声で呼ばれるだけで、あたしの胸は甘くときめく。
「蒼、今日のライブ、お疲れ様」
「ありがとう」
蒼はいつも通りのスマイルをくれる。
こんな蒼を見ると、何だか安心するな。