危険なアイツと同居生活
「やるの?」
隆太は馬鹿にするように笑う。
「僕の顔に傷をつけたら、君は生きていけないよ?
僕の事務所は、Fなんて簡単に潰せる」
そうなのだ。
TODAYの属するアイドル事務所は、業界内最大手。
そんな事務所に目をつけられたら、芸能界では生きていけないかもしれない。
だけど、
「知らねぇの?」
蒼は鼻で笑う。
「俺たちはテレビに出なくても、雑誌に出なくてもいい。
好きな曲を歌って、応援してくれる奴と騒げばいい」
蒼の声を聞くだけで、何だかほっとする。
蒼があたしを取り返そうとするだけで、胸が甘く痛む。
そして蒼は……いや、碧の魂が乗り移った蒼は、獲物を狙う鷹のような目で隆太を睨む。
「唯を返せ」
静かなその声に、震えさえ走る。
あたしを掴む隆太の腕に力が入る。
蒼が一歩近寄り、隆太が一歩後ずさる。
そして隆太は、思いもよらない言葉を発した。
「仕方ない。
蒼君が消えてくれないから、三人で遊ぼ。
それで唯に選んでもらおう。
僕か蒼君かどっちが魅力的かって」
強引すぎるその言葉に、
「テスト勉強があるんだけど」
超不機嫌に言う蒼。
そんな蒼を見て、隆太は再びわざとらしいスマイルを浮かべた。
「じゃあ、蒼君は来なきゃいいよ。
僕たち二人でデートしよっ」