危険なアイツと同居生活





結局、グッズは何も買わずに東京ドームに入った。

隆太はめちゃくちゃいい席を譲ってくれたみたいで、あたしたちはステージの目の前に立っていた。

手を伸ばせば届いてしまいそうな距離。

いつもはそこに蒼がいた。

だけど今日は……




「TODAYのコンサート、こんな前で見れるなんてねぇ。

すっごいチケット取りにくいんだよ?」




あたしの隣にいてくれる。




「それってFのこと?」




そう言うと、




「しーっ」




蒼はそっと人さし指をあたしの唇に付ける。

そこから甘い刺激が走り、身体がびくんと震える。



蒼、ずるい。

そんなことするから、あたしはTODAYどころじゃない。

あたしの心は蒼に鷲掴みにされる。





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