危険なアイツと同居生活
「え……」
思わず顔を上げた蒼。
その顔を亜美が凝視していた。
一瞬、時間が止まったようだった。
「ち……ちょっと、二人とも来て!!」
あたしは強引に二人の手を引き、駆け出していた。
こんなところで騒がれたらまずい。
せっかく蒼が上手くやっていたのに。
とにかく焦ったあたしは立ち入り禁止の柵を乗り越え、大きなトラックの横で立ち止まった。
周りには人もいなくて。
これで何とか安心だ。
だけど……
その場にぺたんと座り込む亜美。
顔を押さえて震えている。
Fの信者、亜美。
Fを追って博多公演まで行ったというつわもの。
Fを愛して止まない。
あたしはそんな亜美とライブに行ったりしたけど、どうして本当のことを言わなかったのだろう。
いずれバレることなのに。
こんなんじゃあたし……
裏切り者じゃん。