危険なアイツと同居生活
「ど……どうしたの?髪」
すごくかっこいい。
だけど、インパクトには欠ける普通の髪型。
……Fみたいな奇抜なグループにはそぐわないかもしれない。
「暑いから切った。
似合うでしょ?」
蒼はそう言っていたずらそうな笑みを浮かべる。
そんな蒼を見て、ふと思ってしまう。
Fが解散するから、だから蒼はイメチェンしたのではないかと。
いや、きっとそうだ。
蒼はもう、一般人になる準備を始めている。
「そうそう、唯ちゃん。
右手も順調だって!
もうすぐギプスも小さくなるよ」
だけどもう、ギターを練習することもない。
そんなことを考えると、胸がぎゅっと痛くなる。
ここのところ蒼は元気そうだけど、きっとずっと悩んでいる。
あたしは、少しでも蒼の力になりたいのに。