愛してるの言葉が欲しい

ごめんなさい、と続く言葉は言わせてもらえなかった


にっこり笑った百合ママは、どうせ弓月が連れてきたんでしょう、と笑って受け入れてくれた


化粧も何もしていない百合ママは普段より男性的な風貌だったけど、柔らかく笑った顔がやっぱり百合ママで…甘えたくなった



ご馳走になることにして部屋へ上がったけど、百合ママは夕飯の用意をしているし…弓月と呼ばれた男性は黙々と一人、パソコンに向かっていた


手持ち無沙汰になった私はぼーっと弓月さんを眺めたり、百合ママを眺めたり


コトコト鍋が煮立つ音やパソコンのクリック音、休日の家庭のような景色が私の心を柔らかく包んで


昼間に感じてた居た堪れなさとか気疲れとか…全部フラットになった気がした


.
< 10 / 16 >

この作品をシェア

pagetop