愛してるの言葉が欲しい


ぼそりと男の人の声が聞こえた


はっとして振り返ると線の細い男性が立っていて


百合ママは中性的な顔立ちで綺麗な人だけど…こう、骨格はやっぱり男性って感じ


だけど、目の前のこの人はーー顔の造形こそ男性だろうと分かるが細身で華奢


ついでにいうと年も見当がつかない…私よりは、上…かな?



「、ゆうりに会いに来た?」


「へ…?あ、あの…」


艶があってウェーブした黒髪をふわりと揺らしながらこてりと首を傾げる


ーー不思議な雰囲気の人


大人の男の人にしては幼いその仕草と、聞きなれない、ゆうり、という名前にこちらもこてりと首を傾げてしまう



「定休日は、こっち…おいで」


「あ、っとーー…はい」


初めて会ったのに…思わず頷いてしまった


その男は、何故だかーー警戒心を抱かせないような、そんな空気を纏っていて


促されるまま彼の後をついて行くと、スナックの裏の、アパートへ連れて行かれた


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