恋色花火
この土地で、ジンクスを信じている女の子は少なくない。
もちろんあたしも……その一人。
だから去年の夏祭り……ユウヤと一緒に花火が見たかった。
だけど……どうしても、誘えなくて。
そして当日、ユウヤを見かけたら……隣に女の子がいた。
彼は優しく、その女の子の頭を撫でていた。
彼女はとても小柄で……可愛らしい人だった。
顔なんて、知らないけど。
その後姿を見たとたん、あたしはすぐに二人から背を向けて走り去っていたから。
それがあたしの……一年前の、静かな失恋。
今もまだ……あの彼女と続いているんだろうか。
そう思うと……余計に誘えるわけないし、そもそも勇気がない。