恋色花火


……それなのに。




「ユウヤ君は誰と行くのー?」





何の悪気もなく聞くナミ。


その質問が、ずしっとあたしの心にかかった。



まぁ……悪気もなく、なんてのは当然なんだけど。


ナミは……いや誰も、あたしがユウヤに特別な感情を抱いてるなんて……知らないんだから。



「俺ー? いつものメンツだよ。
 リンタローにカズマ、あと俺」



さらっと出てきた名前は、いつも教室で騒いでる3人組。


中学が違う2人なので、あたしは必要最低限しか会話はしたことがない。



でもそんなこと言っておいて……一番大きな花火が上がるころには、きっとあの女の子のところに行くんだろうなァ。

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