新宿のデカ
第1章
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二〇一四年三月下旬、勤務先である新宿中央署の刑事課フロアに詰めていた。
俺も今は所轄のデカだ。
変わらない。
この街は実に仰々しいのだった。
繁華街があり、人が絶えず行き来していて、昔から欲望の街として知られている。
「トノさん」
呼ぶ声が聞こえてきたので、振り返ると、同じ刑事課強行犯係にいる警部補の島田だった。
「ああ、シマさん。どうした?」
「さっきさ、樋井(ひのい)課長から言われてね。新年度からもここに在籍するようにって」
「いいんじゃないの?シマさんは所轄の空気が合ってるし」
「でもね、トノさん。俺も所轄での警官生活抜けたいんだよな。準キャリだし、キャリアの連中の出世のスピードには付いていけなくてもね」
二〇一四年三月下旬、勤務先である新宿中央署の刑事課フロアに詰めていた。
俺も今は所轄のデカだ。
変わらない。
この街は実に仰々しいのだった。
繁華街があり、人が絶えず行き来していて、昔から欲望の街として知られている。
「トノさん」
呼ぶ声が聞こえてきたので、振り返ると、同じ刑事課強行犯係にいる警部補の島田だった。
「ああ、シマさん。どうした?」
「さっきさ、樋井(ひのい)課長から言われてね。新年度からもここに在籍するようにって」
「いいんじゃないの?シマさんは所轄の空気が合ってるし」
「でもね、トノさん。俺も所轄での警官生活抜けたいんだよな。準キャリだし、キャリアの連中の出世のスピードには付いていけなくてもね」