新宿のデカ
 最低最悪の人間には、それ相応の仕打ちが必要だろう。


 昔、警視庁時代に叩き込んだ鉄則だ。


 いくら新宿の薄汚れた街にいるにしても、あの件に関してはしっかりと片を付けるつもりでいた。


「トノさん」


「何?」


「六本木のヤマは俺たちに影響してこないよな?」


「ああ。あの件はあの所轄に任せておけばいいだろ。……何か気になる?」


「まあ、多少ね。いくら他の所轄でも、通り魔事件となると、危なっかしいって思ってさ」


「それはデカの心理だよ。当たってる。でもね、シマさん、刑事は情だけじゃやってけない。何かがあれば、即座に別の何かを捨てる必要があるよ」


「確かにな」


 島田が頷く。


 そしてまた、街を歩き続けた。
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