新宿のデカ
 俺もこの男には敵わないと感じていた。


 今は所轄の一刑事に過ぎなくても、相当な腹積もりがある。


 確かによく仕事をする男だ。


 剣道や射撃訓練など、鍛錬も怠らない。


 管轄区内でいつ事件が起きてもいいように、備えているのだ。


 その夜、午後十一時の閉店前まで飲んでいた。


 会計を済ませ、揃ってキタシロを出てから、歩き出す。


 俺の方は新宿駅から地下鉄に乗って、都内でも人口密集地域にある自宅マンションへと向かう。


 一方の島田は新宿区内でも歩いていける距離の場所に住んでいて、その夜も歩きだった。


 ちょうど居酒屋を出て、新宿駅に近いところで別れ、歩き始める。


「じゃあまたね」


「ああ。またな」
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