新宿のデカ
 俺も花を見る余裕があまりない。


 四十代前半というのは、そんな年代なのだ。


 目の前の仕事で忙しくてしょうがない。


 毎日、署に行けば業務に追われる。


 島田とはずっとコンビを組んでいたのだが、特に気になることはない。


 刑事は誰が相方になるかで、警官人生が決まると言っても過言じゃないのだ。


 俺も準キャリアの警官なので、出世が出来ないわけじゃない。


 だが、所轄の方が居心地がいい。


 警視庁で二課にいた時は、大変だった。


 捜査対象者――いわゆるマル対というやつだが――を始終見張るのである。


 選挙違反や知能犯を相手するのは骨が折れる仕事だった。


 選挙違反の摘発ミスは、俺を警視庁から干すのに十分な材料だったのだ。


 他に同じ課員でもミスしたことがあるのに、である。
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