新宿のデカ
 まあ、通り魔など動機はほとんどないのだし、あくまで現行犯で即逃走なので、追っても仕方ない面もあった。


 俺も思う。


 様々な事件が錯綜するのだが、巻き込まれて本当に面倒だなと。


 だが、ここ新宿、ひいては都内全域の治安を守るのが、俺たち刑事の仕事だ。


 別に淡々と続けていくだけだった。


 警察官としての仕事を、だ。


 そして公安が棚町を逮捕後、所持品検査したところ、まとまった量の覚せい剤が見つかった。


 白い粉がスティック状の容器に入っている。


 すぐに組対五課の関係者も来たようだ。


 取調室で、公安の渡辺警部補に代わって、組対五課の警部の熊切(くまきり)が、


「これ、覚せい剤だよな?何でこんなもの持ってる?」


 と訊いた。
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