新宿のデカ
 いつもそう思っている。


 仕事が立て込んでいた。


 これは入庁してから、ずっと変わらない。


 警視庁捜査二課にいた頃もそうだった。


 当時、犯罪者たちの顔を見続けていたのである。


 夢に出てくることもあった。
 

 あの頃はずっと選挙違反の容疑者や知能犯を取り締まっていた。


 実に辛辣だったのを覚えている。


 現に相方の小松も、捜査中に、


「殿村さん、少し休ませてくださいよ。きついですし」


 と言っていた。


「小松、しっかりやれよ。お前、俺と違ってキャリアなんだから、ちゃんと出世できるだろ?」
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