新宿のデカ
「ですけど、殿村さん、乱暴じゃないですか?いくら警察でも、こんな捜査疲れますよ」


 ちょうど、港区で起きた選挙違反事件を取り締まっていた最中だったのである。


 小松も俺に付いてこれなかった。


 俺の方は、この手の事件ぐらい朝飯前だという風に思っている。


 現に二課の刑事が総出動し、事件は無事収まった。


 そして俺の方は一所轄の強行犯係に異動となり、島田とコンビを組む。


 さすがに所轄暮らしは骨身に沁みる。


 それまでの警官人生がウソのように、新宿中央署は退屈だったのだから……。
 

 暇というわけじゃないのだが、庶務や武道、射撃訓練など以外、目立って何もなかった。


 確かに所轄の刑事がいて、縁の下の力持ちになってこそ、都道府県警本部の刑事はいろんなことを出来る。


 俺も思っていた。


 疲れると。
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