新宿のデカ
 そして出勤準備をする。


 朝から組対の人間が掛けてきたので、何かと思ったのだが、熊切とは面識があった。


 二課にいた頃、熊切は一課にいて、互いに同じ刑事部所属の警官同士でツーカーだったのである。


 あっちは俺のことを今でこそ<殿村警部>と呼んでいたが、以前は<トノさん>だった。


 それに熊切は組対五課で警部職にいるので、一つの班の主任だ。


 ずっと気に掛けていた。


 組対の仕事は増えていると。


 どうやら棚町のように月創会の信者だけでなく、関東六王会関係者もシャブを流しているらしい。
 

 噂は耳に入ってきていた。


 その日も通常通り出勤する。


 刑事課フロアに入っていくと、島田が、


「トノさん、おはよう。……今日からパトロール強化だよ。特に歌舞伎町」
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