新宿のデカ
「ああ、殴り込みだ。満を持してだろうな。でも、俺も思った。今、組対が行くと、面倒なことになるんじゃないかってもな」


「そこはちゃんと本庁の人間たちも分かってるよ。俺もあの部署のデカたちとは、二課時代に付き合いあったし」


 軽く息をつく。


 そしてパソコンの電源ボタンを押し、フロア隅のコーヒーメーカーへ向かう。


 一杯注ぎ、口を付けると苦い。


 棚町と谷口は共犯だった。


 共に月創会の信者という点で共通している。


 あのカルトは性質が悪い。


 早く公安も古賀便文を逮捕してほしかった。


 ろくでもない面を引っさげた野郎なので。


 俺も怒り心頭なのである。


 あの腐れ爺の顔写真が載った機関誌や本が派手に宣伝され、信者からは絶えず金を巻き
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