新宿のデカ
 そして金曜の昼、配られた弁当を食べていると、島田が、


「署長は何考えてるんだろうね?」


 と訊いてきた。


「うーん、俺も分からんな。……でもさ、シマさん、別にいいんじゃない?いずれ本庁に行けるんなら」


「まあ、そうだね。……トノさんにとっては古巣だけどな」


「ああ。仮に二課に配属されたら、とんでもなく忙しくなるよ。あの部署は選挙違反とか知能犯、企業犯罪なんかのエキスパートが揃ってるからね」


「確か、トノさんが失敗したのも選挙違反の摘発だったよね?」


「おいおい、昔の失敗は思い出させないでくれよ。俺もあの件は参ってるんだ。もう考えたくないし」 


 ふっと二課時代の失態を思い起こす。


 それと共に、何やら嫌な人間が脳裏に浮かんできた。
 

 尾花監察官である。
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