新宿のデカ
 それから署長席に座ったまま、タバコを一本取り出し、銜え込んだ。


 火を点けて、ゆっくりと燻らし始める。


 俺も思うのだ。


 署長もタバコを止められずにいると。


 まあ、楽しみの一つなのだろう。


 そう思っていた。


 と同時に、実家にいるアル中のオヤジのことが脳裏に浮かぶ。


 胸糞が悪いのである。


 あんなろくでもない人間のことを思い浮かべるだけで。


 署長と二言三言話をし、一礼してから署長室を出る。


 感じていた。


 仕事は続くと。


 心はなかなか休まらない。




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