新宿のデカ
 東都大法学部出身で、官界特有の学閥に守られている。


 思っていた。


 別にキャリア組じゃないのだし、準キャリアやノンキャリアの警察官は出世が遠いと。
 

 仮に警視庁に配属になっても、キャリアの人間たちから顎で使われる。


 まあ、どうなるか、見続けるつもりでいた。


 果たして、上の人間たちがどう差配するかを。


 確かに署長の神名川と、警視庁の刑事部長の押村は頻繁に接触している。


 片や単なる所轄の署長、もう片方は警視庁の事実上の総大将だ。


 明暗が分かれたのは、やはり互いの警察社会における立場の差だろう。


 神名川はキャリア組じゃないから、せいぜい上がって警視正ぐらいまで、一方、押村はキャリア組なので現段階での階級は警視長だ。


 刑事部長を務め上げれば、将来、警視官や警視総監ポストが見えてくる。


 住む世界が違うのだった。
< 372 / 810 >

この作品をシェア

pagetop