新宿のデカ
 普段、島田とは話をする。


 コンビを組んでいるからだ。


 それにしても、昨日島田から聞いた横川検事総長の過去は一際恐ろしい。


 横川が羽野から強請られ、疑惑を隠していると。


 横川が尾花と接触し、羽野と衛藤を逃がすよう手配した。


 あの事件で羽野たちを逃がし、事件を風化させれば、尾花を検察庁から警視庁の監察官へ横滑りさせるというダークな論功行賞があったのだ。


 事件の調書は尾花が握り潰し、一部は都合のいいよう、改ざんされた。


 島田の話を整理すると、感じる。


 横川と尾花は紛れもなく、持ちつ持たれつの関係だ。


 互いの利益に関し、交換条件――バーターと言ってもいい。


 恐ろしいのだが、それが現実だ。


 元をただせば、全ては事態の隠蔽に根本的な原因がある。
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