新宿のデカ
 退職した刑事と会うことが稀にある。


 多少認知症が入っていても、昔のことはよく覚えているのだ。


 そしてずっと仕事が続く。


 署に行けば。


 新宿駅から新宿中央署へと歩く。


 通い慣れていても、人が多く息苦しい場所だ。


 勤務日はずっとこんな状態が続いていた。


 刑事課フロアに入っていくと、島田がいて、


「おはよう、トノさん」


 と朝の挨拶をしてくる。


「ああ、シマさん、おはよう。……今日の午後、道場で稽古しない?」


「うん。たまにはやらないと、腕が鈍るからね」


 島田がそう言って、パソコンに向かった。
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