新宿のデカ
 ゆっくりと、だ。


 煙たいのを堪えながらも、立ち続ける。


「まあ、別にそう気にするな。君と島田警部補に本庁に行ってもらうことは、ほとんど本決まりだからな」


「ええ。……しっかり勤めますので」


 そう言って一礼し、出入り口に向かって歩き出す。


 後ろから、


「横川検事総長の件は検察全体がカバーする。特捜が動くなんて思うなよ」


 と言ってきた。


「ええ」


 振り返って一言返し、もう一度一礼する。


 そして刑事課へ歩き出した。


 島田がパソコンのキーを叩いている。
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