新宿のデカ
「まあ、そうだな。……シマさんって強いね」


「トノさんさ、俺より長く刑事やってて、気付かなかったの?」


「うん。俺もシマさんが深いのは知ってるんだけど、しなやかさとか強さがあるね」


「ああ。俺も俺なりに生きてきたからな。辛い過去があっての教訓だよ」


 島田がそう言って、軽く笑顔を見せる。


 はっきりと分かった。


 人間は弱いと分かっていて、その上で悟ってしまっている強さが、顔に出ている。


 パソコンの電源ボタンを押し、起動する前にフロア隅のコーヒーメーカーへ行き、コーヒーを一杯淹れた。


 そしてデスクに座る。


 午前中は課内庶務だ。


 ずっとキーを叩き続けた。


 島田とはコンビを組んでいる。
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