新宿のデカ
第56章
     56
 土曜の午後、パソコンに向かい、課内庶務をこなす。


 心身ともに疲労していた。


 午後三時過ぎにいったん席を立ち、フロア隅にあるコーヒーメーカーへと行って、コーヒーを一杯注ぐ。


 飲んでから、気持ちが落ち着くのを感じた。


 確かに緊張感はある。


 だが、緊張しっぱなしだと、やれる仕事もやれない。


 それは十分分かっていた。


 勤務の合間にコーヒーを一杯飲むことで、気が楽になる。


 これは一種の健康法だ。


 警官も健全じゃないと、仕事にならない。


 今頃、川倉や幸島たち警視庁捜査一課のデカたちは、羽野和夫や衛藤稀人を追っているだろう。
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