新宿のデカ
 倦怠は抜けないのだ。


 四十代男性の味わう悲哀である。


 だが、警察官として、働かないといけない。


 いくら所轄でも刑事は刑事だ。


 これと言って、大きな案件を抱え込むことはないにしても。


 普段忙しい。


 何かと積み重なる雑事に忙殺される。


 課内庶務や鍛錬、パトロールなど、刑事がすべきことは多い。


 とにかく慌ただしいのだった。


 そしてその週も月曜から水曜まで、あっという間に過ぎていく。


 木曜の朝、いつもの時間、署に行った。


 先に島田が来ていて、


「トノさん、おはよう。……署長が来いって言ってたよ」
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