新宿のデカ
「うん。人事の方もちゃんと君たちの勤務する場所を考えてるよ。それは逐一聞いてる」


 神名川がそう言って、タバコを取り出し、銜え込む。


 火を点けて、燻らし、


「殿村、君も元は本庁にいたデカだからな。君の腕のよさは知ってる。二課時代のことも押村刑事部長から聞いてるんだ」


 と言って、笑顔を見せた。


 何と言っていいか、分からない。


 ただ、神名川が押村とかなり昵懇でいるのは推察できた。


 思う。


 警察も上の人間たちは、持ち凭れつが続くんだなと。


 神名川が美味そうに吸っていたタバコを灰皿の上で揉み消し、


「尾花監察官と横川検事総長のことは、まだしばらく伏せておいてくれ」


 と言ってきた。
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