新宿のデカ
 今、小松が課長補佐としている。


 昔コンビを組んでいて、俺の方がしっかりやっていた。


 だが、ふっと思う。


 仮に尾花や横川が特捜から告発されたら、単なるダメージじゃ済まない。


 感じていた。


 いくら強請られていても、殺人犯を逃がすなど、あってはならない話である。


 そう思い、事件の逸早い収束を待つ。


 警視庁にいる警官たちも、検察庁関係者も皆、そう考えているだろう。


 膿を出し切るには痛みに耐えなければならない。
 

 当然だ。


 不正を摘発する側が、不祥事を起こしているのだから……。


 殺人犯の逃亡幇助という、一番やってはいけないことを、である。


 ゆっくり考える暇は全くない。
< 519 / 810 >

この作品をシェア

pagetop