新宿のデカ
 島田は若いのだが、早起きのようだ。


 俺の方は寝坊してしまう。


 だが、午前八時二十分には署に着くようにしていた。


 フロア隅のコーヒーメーカーでコーヒーを一杯淹れてから、飲む。


 そして勤務を始めていた。


 デスクには古い調書が山積みだ。


 つい最近――、一九九〇年代ぐらいまで調書は手書きしていた。


 パソコンが普及してなくて、デカたちも調書を付ける際、紙の書類にボールペンで書いていたのである。


 あの当時、俺の方は警視庁にいて、島田はまだ入庁すらしてなかったと思う。


 まあ、あの頃はIT機器など、ほとんど普及してなかったのだ。


 警察官は古い型式の拳銃や警棒を所持し、足で稼ぐ時代だった。


 ハイテク機器などまるでなかったのだし、警察も地味な捜査をしていたのである。
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