新宿のデカ
 あれは警視庁の案件だから、所轄が首を突っ込むと越権行為になってしまう。


「トノさん」


 樋井が課長席から声を掛けてきた。


「はい」と返事し、席を立ってから、課長席へ向かう。


「新年度からは本庁の方をよろしく頼むよ。シマさんも連れて行ってしっかりやってな」


「ええ。……課長、あの殺しの案件は大丈夫なのでしょうか?」


「ああ。警視庁広域指定七×二事件だろ?あれは本庁が担当だから、俺たち所轄は口出しできないよ」


「ええ。まあ、そうなんですが、傍ら痛いんですよね」


「傍ら痛い?」


「はい。果たして本庁とか察庁の人間たちがホシを逮捕できるのかと」


「気にするな。ちゃんと事件は解決するよ」


 樋井がそう言って、軽く笑う。
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