新宿のデカ
 日々が過ぎ、その週の土曜、通常通り出勤した。


 午前中、島田が、


「トノさん、事が大きいから、警察にも波及してくる可能性大だよ」


 と言い、眉間にしわを寄せる。


「そう?そこまで根深いの?」


「ああ。悪いじゃ済まないと思うよ。現役の警視庁付監察官とか、現職の検事総長、それに法務大臣まで絡んでるんだから」


「言ってたよね?いずれ逮捕って」


「ああ。捕まえなかったら、責任問題になるからね。検察当局だって戦々恐々としてるよ。いずれ身内の膿を出し切るんだから」


「……」


 一瞬言葉が出なかった。


 そして翻り、


「シマさん、俺たちも安楽椅子探偵だよな?」
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