新宿のデカ
 特に強くなるため、何かしら、したことはない。


 ただ、準キャリアで入庁し、現場担当の刑事になると、日々疲れる。


 警察官として、所定の訓練を受けていても、今後、学ぶことの方が多い。


 そう思っていた。


 課内庶務の間、ずっとパソコンに向かう。


 調書の電子化を通じ、昔のデカたちの息吹を感じることが出来る。


「ああ、こういうこともあるな」とか「ああ、こういったこともあったんだな」と。


 まあ、特に深く気に掛けてない。


 単に合間に思うだけだ。


 あれこれと。


 そしてその週の金曜の午前中、島田が、


「トノさん、本庁ってどんな雰囲気なの?」


 と訊いてきた。
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