新宿のデカ
 ――うん。例の事件の捜査はどうなってるかって思ってね。


「警視庁広域指定七×二事件のことですか?」


 ――ああ。まだ羽野は捕まってないんだろ?


「ええ。あの事件は羽野と衛藤が共犯でやったことですからね。我々本庁の一課のデカも必死ですよ」 


 ――潜伏先とか、見当付いてるのか?


「いえ、全く。雲隠れしたままですよ。我々も大変でしてね。いつ、ヤツらが尻尾出すか、気になってます」


 ――君も幸島もずっとそれで手一杯なんだろ?


「ええ、疲れますよ。……殿村警部は所轄勤務ですから、羨ましいです。目立った案件も抱えておられないようですし」


 ――バカ言え!俺だって元は本庁のデカなんだし、仕事あるぞ。捜査ミスで締め出されたにしても、桜田門にいたことには変わりないからな。


「失礼しました。殿村警部もまだ昔のプライドはお忘れじゃないんですね?」


 ――当たり前だ。未練はないがな。……それよりも早く犯人検挙しろ。それが君たちの
< 68 / 810 >

この作品をシェア

pagetop