新宿のデカ
「ああ。危ない街だからな」


 頷きながら、手元の弁当を掻き込む。


 課内は何かと慌ただしい。


 そんなことを感じていた。


 そしてその日の午後一時過ぎ、歌舞伎町へ向かったのである。


 定時巡回に。


 思っていた。


 一度摘発した暴力団も、まだ残党がいる。


 その日、俺も島田も上下ともグレーのスーツを着て、ネクタイを締めていた。


 マル暴だと、大抵開襟シャツなどが多い。


 あの連中はヤクザ者相手だから、恰好からして暴力団と変わらない。


 歌舞伎町の人ごみに紛れ、辺りにひしめき合っている店などを探る。


 銃、覚せい剤、違法なDVD類などを横流ししてないかどうか、見るのだ。
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