新宿のデカ
 五指に余るぐらい、悪いヤツらを見てきた。


 何が俺を突き動かすのか、分からない。


 現役の刑事として、捜査に出ることが多い。


 いつも思っていた。


 きっと恨み骨髄の犯罪者も多いだろうと。


 刑事は恨まれるのも仕事のうちである。


 それは分かっているのだった。


 署にいる間は、ゆっくりする間がない。


 庶務をこなし、地下の射撃訓練場での射撃訓練、それに捜査で出かけるなど、暇はないのだ。


 返って、警視庁にいる刑事の方が、楽をしているような気がしていた。


 二課から締め出された過去が妙に気に掛かる。


 なぜ、あんな失態を犯してしまい、挙句、警視庁から追放されたのか?
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