新宿のデカ
 そう思い、使っていたオートを下ろし、底部の安全装置を装着する。


 そして島田に、


「シマさん、そろそろ行こう。まだ職務が終わったわけじゃない」


 と言った。


「ああ。トノさんもテンション上がってるよな」


「うん。何せ数日後は異動だしな」


「もうあと一週間経てば、警視庁だね」


「そんなにあの建物に拘るの?」


 そう言うと、島田が笑顔で、


「ああ。準キャリアでも出世したいし」


 と返し、銃をフォルスターに差し込んで、射撃訓練場の出口へと歩き出す。


 黙って付いていった。


 残渣した火薬がまだ残っている。
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