新宿のデカ
 臭気がひどいのだが、お互い署員専用ロッカーでデオドラントを振り、刑事課へと戻った。


 とにかく疲れる。


 島田が自分のデスクに座り、口を開いた。


「思い出させるようだけど、トノさんも二課は嫌だろ?」


「ああ、まあな。……着任するにしても、あの部署だけはないと思う。ひたすらこき使われたし、一度追われたところだからね」


「俺もやっぱ刑事部捜査一課がいいな。今のこの署での仕事の延長線上にあるんだし」


 島田がそう言って、軽く息をつく。


「まあ、本庁も慣れればそうでもないよ。皆しっかりサポートしてくれるって」


 そう言うしかなかった。


 島田も縮こまっているのだ。


 心の奥底で、怯えているようだった。


 新天地に。
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