新宿のデカ
 火曜の夜が明けると、水曜の朝になる。


 その日も普通に署に出勤した。


 駅から歩きながら、気分が高揚するのを感じている。


 だが、刑事など淡々とした職業だ。


 斜に構えることなく、気を楽に持ち、やっていた。


 新年度から新宿の警官じゃなくなる。


 俺はもちろん、島田も。


 そして異動と同時に、また大人数の中に入ることになる。


 思うのだ。


 二課時代の苦い思い出を噛み締めていて。


 だが、何かをするには、何かを捨てる必要がある。


 昔の自分を擲つしかない。


 そう思っていた。
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