新宿のデカ
「て、てめえ……、松下の秘書の……」


 俺の方がそう言うと、相手がニヤリと笑う。


 そして言った。


「先生の仇取ってやったよ。死ぬんだね」


 松下の私設秘書である内田真尋がナイフを握っている。


 血まみれの。


 公設秘書である櫻木と共に逮捕された後、いったん保釈されていたのだろう。


 思っていた。


 ここで死ぬわけにはいかない。


 そう思った時、内田が俺の脇腹を数度蹴り、更に島田の腹部にもケリを入れて、痰を吐き、


「苦しむんだね。じゃあな」


 と言って、ダッシュで逃げ去る。



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