新宿のデカ
 無念と言えば無念だった。


 出血多量でもうすぐ死ぬのだから……。


 明日からの警視庁勤務はパーになった。


 せっかく島田とまた仕事が出来ると思ったのに、それもなしになる。


 血がドブドブと溢れ出ている脇腹を押さえた。


 痛い。


 痛みと共に意識が遠のく。


 島田はすでに息が絶えていた。


 本当にこのまま死ぬんだろうか?


 そう思っていた。


 そしてそれから先の記憶がない。


 確か最後に、人生のいろんな出来事が脳裏を駆け巡った。


 明日四月一日には、もう俺たちはこの世にいないんだな。
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