新宿のデカ
 そしてちょうど丸一日が経ち、月曜の朝、署に出勤する。


 デスクのパソコンを立ち上げ、ディスプレイに見入っていると、樋井が課長席から、


「トノさん、午後から地下で射撃訓練しないか?」


 と言ってきた。


「ええ、構いませんが。……課長、何かあったんですか?」


 幾分訝しみ、問い返す。


「いや。俺もしっかり腕磨いとかないと、凶悪事件発生時は危ないからな」


「関東六王会のヤマで、我々所轄も動かされるってことですか?」


「そう決まったわけじゃないんだ。ただ、仮にヤツらが事件を起こせば出動要請が出かねない。所轄だからって、手を抜くことは許されない。しっかりやらないと、本庁の上の人間たちから、バッシングを食らう」


「まあ、そうですね。私も気には掛けてます。……課長は動体視力の方はいいですか?」


「ああ、問題ないよ。多少揺れるものでも正確に撃てる」
 

「では、午後から射撃訓練しましょう」
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